![]() 1999年12月3日 中部経済新聞掲載 |
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| にわぜんきゅう氏は40歳を過ぎて失意に陥り、生まれ故郷の愛知県南知多町内海へ戻ってきた。風来坊生活をしているときに内海の海で出会った羽の模様の石に出会い「石の鳥」づくりにはいった。叔父さんの「これはいい、売れるかも知れん」と誉めてくれたその一言が、ぜんきゅう氏の人生を大きく変えるきっかけとなった。最初は近くのレストランで展示をした。そのときお客さんがほしいと言ってくれた。それからは、次々に展示やポスターに使いたいと言う話が広がって行った。東京でも数々の「石の鳥と流木造形展」を開催したり官庁や企業のポスター・テレビドラマのタイトルバックにも起用されるようになっていった。 | ![]() |
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中日新聞主催の第10回日匠展では「石の鳥」が大賞を得た。そして、友人の進めで南知多ビーチランドでも展覧会を開催。それがきっかけとなって「内海フォレストパーク」に常設コーナー“森のギャラリー”が誕生した。誰もが石の鳥づくりが楽しめる“森の夢工房”もできた。今、ぜんきゅう氏は週に一度、常滑市にある特別養護老人ホーム“むらさき野苑”に通っている。ここにくることになったきっかけも中学の同級生から誘われたからだった。「何をやらせるつもりだろうと思いながら来たら、食堂にお年よりが50人くらい集っていて、丹羽先生を紹介しますと・・ああ乗っけられたなって思った」。そんなことがはじまりだった。 | |
| 教え方は自己流だ。例えば描く絵が長くなりそうなら、どんどん画用紙を継いでいく。逆に小さな絵ができたら、大胆に紙をカット。お年よりと一緒に絵や習字、粘土細工などをする為である。「お年よりが老人ホームで楽しく生きていくためのきっかけがつくれればと思っています。僕も絵を描いてくれる人がひとりでも増えればすごくうれしい」と言う。この老人ホームの園長から頼まれてつくった「砂かけ地蔵」がある日姿を消した。友人が勝手に人形メーカーへ持ちこんだ為だった。しかし、それがきっかけで“ぜんきゅう心のギャラリー”の人形が世にでることになった。おばあさんから頼まれて描き始めた地蔵の絵は、老人ホームのTシャツやうちわのキャラクターにもなっている。 | ![]() |
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風来坊時代に心に浮かんだ言葉を書きとめたものが、習字紙三百枚くらいたまり、これが一冊の本にもなった。ほのぼのとしてかわいい作品は皆の心をつかんで離さない。この老人ホームでは70代から80代のお年よりに絵や習字、粘土細工を教える「ぜんきゅうさんは魔法の言葉を使う」と職員たちに言われている。「重い白内障のおじいさんが鮮やかな色使いで誰にも真似できないすごい絵を描きはじめた。その人の持つ能力をうまく引き出す達人でもある。それまでは一日中「困ったな」の一言を繰り返していただけの痴呆症のおばあさんが、筆をとり「困った、困った」」と字を書いた。 | |
| 「上手に描けんもん」としり込みする人には、「なんだい、最初から売る気なのかい」。ほめられたいとか上手でなくちゃとか、そんな気持ちを捨てれば、本当に楽しんでものが作れる。趣味の一つも持てずにきたお年よりたちに、老人ホームのこれからの人生くらい楽しく生きて貰えたら…そんな思いで通い続けている。痴呆症などのお年よりが通う愛知県半田市東本町の民間宅老所「ひだまり」にも「物を作る喜びを味わってもらいたい」と絵画・造形教室を毎月2回開いている。このようなぜんきゅう氏の活動は至るところで作品として世に出てきている。これからも独特の雰囲気を持つ作品が生まれつづけていくことを期待したい。 ●にわぜんきゅうのアトリエ 愛知県知多郡南知多町大字内海字長城20-11 ユトリアル内海405 TEL/FAX:0569-62-2967 |
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| トピック履歴一覧へ | 中部経済新聞連載記事(毎週金曜掲載) 『うつりゆく商業環境と躍進するまちと店』 広野 嘉代子 |
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