雑誌や新聞に数多く紹介されてきた北海道の名物料理店『佐々木旅館』
1999年12月17日
 中部経済新聞掲載


北海道 東藻琴村の
名物山菜料理店 佐々木旅館

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 今年初めての大雪の降った日、私はこともあろうに、北海道のオホーツク海の網走地方にいた。その場所は北見市から国道334号線にはいり車で1時間ほどの東藻琴村である。かつては網走市であったがこの村は独立して東藻琴村になったという。この地で山菜料理で有名な旅館があると聞き、東藻琴村商工会の事務局長 溝部 徳氏の案内で訪問した。この旅館は佐々木旅館(代表者 早坂勝美)と言い料理番組にも数多く出演するなどいわゆる代表者の早坂勝美氏は料理の達人である。北海道のオホーツク海側は観光名所でホテル、旅館で出される定番料理について「カニ、ホタテ、海老、サケ、ウニが和音とすると、私のやっている山の菜っ葉は不協和音」と言う。  山菜料理で有名な佐々木旅館の代表者 早坂勝美氏
北海道旅行で海の幸に食べ飽きたお客様に山菜料理でもてなす点に着目した  北海道旅行をして海の幸を満喫することは大きな楽しみの一つであるが、どこへ行っても連日カニやホタテでは山菜料理でも食べたくなるというのが人間の心理である。山に囲まれ山菜が豊富にあり、知床岬や網走方面への通過点でもある格好の場所と言えるそんな立地条件も、この店の山菜料理を作る方向づけになってきた。佐々木旅館は昭和28年佐々木食堂であったがもともとのルーツは「おやき」からはじまった。鍋焼きうどん、そば、ラーメンといろいろ手がけていたが、泊まるところもほしいとお客様からの要望で旅館も始めた。山菜料理を研究し続け、今や60〜65種類の料理ができるというから驚きである。
 山へ毎日山菜採りに出かける。冬場は雪にうずまりオフシーズンであるので採る事はできないが、春になれば毎日山へ出かけて行き新鮮な山菜を取ってきてすべて手作業でやっている。お客様のなかには、「俺は石川五右衛門の末梢だ…おまえはタダのものを採ってきて金をとるのかと…」中には本当のことを言う人がいる。確かに山の幸山菜は元をただせばタダ。じゃあどこに価値があるのかということになるが、“汗と愛情”につきる。年に一度の行楽で行くのとは違う。毎日苦労して汗してとってくる、すぐ処理をしなければ味が変わるのが山菜ですと早坂氏。山菜の話はつきない。山菜に上下はありません。春一番に出てきたフキノトウが最高だとか、いやいやイラクサの新芽をつんできて朝の味噌汁に入れるのが最高だ。なんたって山菜の王様はタラノメですよ、などと言う人がいるが、それは好みであって、どんな山菜にも上下はない。 春になれば毎日山へ出かけて行き新鮮な山菜を取ってすべて手作業で行っている
20数種はある山菜料理の品々は少量ずつではあるが味付けも違っておいしい  それぞれに独特の風味と味わいがあってみな平等であると山菜についての説明は尽きない。食堂には昭和42年に高松宮殿下の写真や「私は生まれも育ちも葛飾柴又です。」と書かれた山田洋次監督の色紙や女優 松坂慶子さんの映画ロケに食事に立ち寄った写真など、所狭しと壁一面に貼られている。東京の旅行会社の企画した北海道旅行のアンケート調査結果によれば、当店の食事はすべて二重丸の評価を得ている。早坂氏からお話を伺ううちに食事の準備が整い料理が運ばれてきて、それにびっくり。いろとりどりの料理がズらーと並べられた。20数種類はあろう山菜料理の一品々は少量ずつではあるがすべて別の山菜で味付けも違う。それぞれの山菜の良さを考えての味付けでとにかくおいしい。これはなんですかと小鉢の料理にたべるたびにたずねながら食は進んだ。
 山菜は繊維質が多いから健康食です。明日の朝はすっきり目覚めますよ!!との早坂氏の言葉についついおかわりをしてしまった。かつて、JR西日本の企画した二人乗り「ジムジン」1週間140万円コースの旅行で当店が昼食に組みこまれていたが、食事には大満足であったとのお客様の大きな評価を得た。雑誌や新聞にも数多く取材があり紹介されてきて北海道の名物料理店になっている。すっかり料理の達人、早坂氏のお話に時間が過ぎるのも忘れて聞き入ってしまった。とことん一つのことに精魂込めて取り組む、そんな生きることの重要さを知った一日だった。しかし、翌朝は悲惨だった。年内にはあまり雪は降らないというが、あいにくの大雪は10年ぶりであるともいわれ、腰ほどまで降り積もっていた。雪道を走ったこともない私は夢中でこの吹雪のなかを北見に向かい車を走らせた。

●佐々木旅館
 北海道網走郡東藻琴村北二区
 TEL:0152-66-3724
とことん一つのことに精魂こめて取り組む、そんな生きることの重要さを知った
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『うつりゆく商業環境と躍進するまちと店』
広野 嘉代子