久田俊彦氏

2001年6月15

中部経済新聞掲載




新しい酒屋のあり方を求めて
頑張る久田酒店

 中小規模商店は相変わらず厳しい経営環境を強いられているが、今に始まったことではない。勝ち残って行く為には相当な努力が必要になってくる。名古屋市中川区東中島町8丁目31番地 久田酒店 久田俊彦氏(http://www.hisada-sake.com/)は 日本酒と焼酎に特化して人気を集めている。当店は昭和5年の創業で久田氏で4代目となる。酒のディスカウント店が勢力を増してきた頃の平成8年頃から後発だったが、こだわった日本酒への取り扱いを始めた。蔵元さんからは実績がなかったので断られたりしてきた。そんなとき鹿児島の蔵元さんに出会ったことから九州人の気質に惚れ込んでお付き合いが始まった。ビールの商売はできないなと思い、日本酒と本格焼酎の店としてこだわって行こうと方向を決めた。焼酎を始めたのは平成9年だった。

久田俊彦氏
久田酒店

 焼酎の蔵元巡りに行きはじめた頃、最初に出会ったのが、まだ、若干30歳の西酒造  西陽一郎氏だった。今の焼酎ブームをつくった人だ。昔からの伝統を引き継ぎながら、今の時代にあった焼酎づくりを一生懸命やっている人である。「これが本当のいもだろうか?」と思うほどおいしかった。蔵元めぐりは年3回、2月6月9月と九州へ行く。2月は九州の酒屋さんが企画する「焼酎を楽しむ会」に参加し、2〜3件蔵元さんをまわって新規開拓する。まず、自店で試飲してみて、これはいけるなと思うと訪問する。

 現在、焼酎が15蔵、清酒18蔵とお付き合いをしている。そして、久田酒店主催で飲み比べ、「久田酒店 酒を楽しむ会」も始めた。焼酎も同じく「焼酎を楽しむ会」と別々に開催している。それぞれ年1回づつ行う。焼酎は3月、日本酒は1 1月に行う。今年3月の焼酎飲み比べでは30名募集が50名ほどに膨れ上がった。 いも・麦・米・穀・糖・そばの5種類の焼酎の飲み比べ会だったが人気を呼んだ。出席のお客様は、いつも取引頂いている飲食店の店主や従業員、そしてその飲食店の推薦のお客様が集まる。また蔵元さんが名古屋にこられた時に随時行っていて、6〜10名のお客様を招き、蔵元さんを囲んで行う。焼酎のことをまだまだわからないことも多いので、焼酎をつくる苦労話や楽しい話、今後の夢等を話してもらい交流の時間を過ごしている。お客様に焼酎を知ってもらうのも一つの目的である。
店内
POP

 焼酎は「くさい ・ださい」という昔のイメージから「オシャレ・かっこいい」に変化をしてきたことも、こうした蔵元さんの造り手としての努力と、売り手としての酒屋さんとの連携プレーの賜物と言えよう。女性が焼酎を堂々と飲むとかっこいいとまで言われるようになった。それは愛知県という立地的なこともあったのかもしれないと久田氏は言う。それは九州から名古屋に来ている人が多いからと。九州の人達は酒といえば焼酎で、何かと焼酎を飲む機会が多い。名古屋で焼酎がヒットしたこともそんな要因からかも知れない。それよりも焼酎ブームの立役者は造り手と売り手の努力と言えよう。久田酒店では、毛筆手書きのPOPを取引先の飲食店等にサービスで書いている。なかなか味があると好評で久田氏は皆さんのお店が繁盛するようにとの願いをこめ書いていると語る。

 久田酒店の店内では大きなテーブルに30種類くらいの試飲ができるスペースを設けている。ここで焼酎の話に花が咲く。お客様とのコミュニケーションの場だ。中小商店は厳しい局面をむかえている。新しい業態開拓をして他の道をあゆむのも道かもしれないが、代々引きついだ道に活路を見出していくのも重要な選択の道だ。南九州には20代から30代の若手の焼酎の蔵元さんが、日本だけでなく世界にも通用する焼酎を目指して頑張っている。それに応えて応援するお店があって、んでくれるお客様がある。これが本当の商売の醍醐味かも知れない。

試飲スペース
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『うつりゆく商業環境と躍進するまちと店』
広野 嘉代子