三重県紀伊長島町のまんぼう

2001年8月31

中部経済新聞掲載




三重県紀伊長島町
「まちづくりシリーズ-4」

 紀伊長島町のまちづくりシリーズ4は伝統的に受け継がれたまつりとして年々盛大に行われている「とうろう祭り」を取り上げる。2001 燈龍まつり「竜宮城と魚たち」(http://www.kiinagashima.com/tourou.htm)をテーマに7月21日夜、長島港前浜で行われ、岸壁を埋めた観衆3万5千人が幻想的な絵巻物に惜しみない拍手を送った。燈ろう引船に乗る若者たちの意気込みが感じられた。このまつりの起源は昭和3年にさかのぼる。赤羽川の川開きに数百羽の都鳥型燈龍を流したのがはじまりで、熊野路の夏の風物詩として全国に広く紹介された。しかし、昭和49年を最後に一時中断していた。何とか復旧したいという商工会青年部の伝統復活の熱い想いが昭和62年、13年ぶりに更に巨大で華麗な姿となって蘇った。そして今年は15周年を迎えた。

2001燈龍まつり
雷河童

 その間、民話の主人公を題材に燈龍製作をし、ナレーションとともに物語りを演じる「民話シリーズ」を経て、昨年からは巨大燈龍に加え、町内外から10数基の中型燈龍をコンクール形式により公募するなど、より体験型、交流型イベントとしての新たな展開をしている。今年の祭りは「龍宮城と魚たち」と題して巨大燈龍「龍宮城」とたくさんの中型燈龍「魚たち」が一体となり、電飾も一段と鮮やかに花火とともに夜の海を彩った。祭りを盛り上げる地元小学校や高校、役場、金融団、そして隣町の尾鷲高校、尾鷲青年会議所、紀北中学生、中電尾鷲、東紀州活性化大学等力作16基が揃った。最優秀グランプリに輝いたのは地元紀伊長島町西小学校が作った「カメと浦島太郎」だった。カメの製作は6月はじめから取り組んだ。児童、保護者、教師ら延べ100人が参加してつくった。カメの頭部は中古扇風機の首振り機能を利用して左右に動く。保護者の協力で放課後から午後11時まで作業を続ける 日も何日もあったと言う。

 まつり当日は長島港一帯で盛大に繰り広げられ、午後4時からこの誌面紀伊長島町まちづくりシリーズで紹介した港市のオープンで祭りを盛り上げる。この港市は鮮魚・干物・などの海産物をはじめとして地元の各種物産品の直売に加え、格安フリーマーケットとして、様々な種類のお店がテント張りでズラリと建ち並ぶ。燈龍祭と前夜祭には特別夜市として開催している。港市を楽しんでいる間に日没と共に、会場一帯のミニ燈ろう1300個が点灯。午後7時からは孫太郎太鼓とソーラン踊りで祭りがスタートする。

前夜祭
竜宮城

 松坂市の高校生4バンドのライブ演奏や中学生のブラスバンド、サンバパレードと祭りを盛り上げる。とっぷり暮れた午後8時からは速射連発花火(スターマイン)を合図にメーンの巨大灯ろう龍宮城と一般参加の16基が海上で競演。赤、緑、黄色に点灯した、くじら、ヤドカリ、カツオ、マンボウ等が2〜3基づつ船に引かれてゆっくり進む。同時に花火の打ち上げが始まる。見事な花火3000発が上がる。暗闇で揺れる「龍宮城」に灯がともった。千個の電球でオレンジ色に輝く高さ9.5mの巨大灯ろう。傍らに「浦島太郎とカメ」を従えている。仕掛け早打ちが一段と豪華になり龍宮城の台船から5本の筒花火が上がった。灯ろうと花火が織り成す大絵巻だった。

 紀伊長島町民が中心となって回り一帯の市町村を動かし大イベントに発展させた威力は大きい。一過性の祭りには違いないが、それまでにもっていく労力とみんなが一つのまつりを成功させようとする一体感が地域全体を一つに結びつける。こうして交流のなかった一般の人々と商工業者がお互いに交流ができ町は活性化していくのである。そしていま、紀伊長島町と海山町でインターネットによるサイバーモール(ネット上のまちづくり)づくりを実現しようと計画中である。勢いをつけているまちはこのようにして一段と活性化していくのである。

町民による燈篭作成
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『うつりゆく商業環境と躍進するまちと店』
広野 嘉代子