2001年10月5日 中部経済新聞掲載 |
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京都府美山町は「かやぶきの里」として知られる静かな山村である。裏日本の日照時間の短い土地で育み成長したけやきを永い年月をかけて自然の中に乾燥させ、素朴な風合いを生かした民芸家具に手造りで仕上げている職人技の人に出会った。その人は銘木工芸 山匠 馳平益由氏(京都府北桑田群美山町静原8TEL07717−5−0291http://nande.com/yamasyo)で、美山町の中心地に近いところに店舗がある。馳平氏の家は代々、林業を営んでいた。未だ小学校に入っていない頃より、山の現場へつれていってもらった。山の中で育ったためにごく自然に山や木に触れ合うことは身についていた。 |
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そして学校卒業後、これが自分の一生の仕事と思い、一念発起して民芸家具の製造に取り組むことにした。当時は材料も機械もなく、ましてや資金や得意先も全くないところからの出発で苦労をした。作っても持っていくところはなかった。15年くらいは難儀をしたが、やっているうちに除々に広がっていった。お客様も少しづつ増え、材料は倉庫いっぱいにそろうまでになった。 |
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20年〜25年乾燥させているこれらの材料は大変な額が眠っていることになる。機械も買えるようになり、やがてはすべての機械を導入するまでになっていった。20歳の頃より始めたこの仕事であるが、材料である銘木選びも自ら近県の山を週に一度位は探し回っていた。そして、これはと思う銘木を探し当てると、山師さんにお願いして木を切り、1本の長材のまま山からだし、製材して乾燥させてきた。そうした積み重ねで貴重な銘木を手に入れ、これも財産となっている。いい木があるからいい商品ができる。銘木市場にも自ら出向き高価な珍しい木目の木を選んでくる。通常は木を切り出してから4〜5年の乾燥期間であるが、10年〜15年で木にひづみが出てくるので、当社では自然乾燥期間を20年から25年くらいおき、精度の高い家具をつくっている。 |
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木目が細かく良質の木を選び手作りで丹念に仕上げているので、素朴で独特の風合いがある。木目が多様に絵をかいたようにはっきりとしていて、それがうまく生かされて趣がある。例えば一つの棚を作る場合、3人の職人が分担して材木選びから始まり、加工、ペーパーがけ、漆塗りなど40以上の工程を経て、1ヶ月かけて完成させる。こうした丹念な作業から手作りの風格が人の心に深く伝わるのではないだろうかと思う。最高級品のオリジナル家具は使い込むほどに味が出る。子供から孫の代までも愛用して頂けるものばかりである。馳平氏はこの仕事が大好きで一日の仕事を終えた充実感と、早く次の日がこないかと待ち遠しいときもあると言い、まさしく天職ではないかと自分でも思っている。 |
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いろいろな思いを込めて作っている商品は完成すると感慨深くなり、手放したくなくなってしまうようだ。しかし、お客様から「こんな家具を探していたんです。」といわれると職人冥利につき手放す気になる。そしてまた良いものをつくろうと意欲がわいてくる。いまは80%がオーダーメードであるが、お店にもダイニングセットや応接セット、衝立、座敷机・サイドボード・婚礼家具など木のものなら何でもそろっている。木の話しをする馳平氏は穏やかではあるが熱意のこもった力強い言葉に圧倒されてしまう。この仕事が天職ですといえる仕事に出会った人は幸せである。イヤでも生活のために働く人々が大半である。一つづつの家具の話しをするときの馳平氏の横顔は輝いていた。自分らしいいい人生を送っている人に久しぶりに出会った。そして、こんな家具の中で生活できたら幸せな気持ちになれるような気がした。 |
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| トピック履歴一覧へ | 中部経済新聞連載記事(毎週金曜掲載) 『うつりゆく商業環境と躍進するまちと店』 広野 嘉代子 |
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