ムース
2001年12月8

中部経済新聞掲載



セブ島のマンゴで
新商品開発の藤乃屋

 岐阜県の山間部から全国に向けて和洋菓子を販売し、インターネットでも話題と なっている岐阜県八百津町の(有)藤乃屋 代表取締役 後藤英夫氏(http://www.fujinoya.netは今、フィリピン セブ島のマンゴの開発に取り組んでいる。後藤氏の積極的な経営姿勢は予てからこの紙面でも紹介しているが、八百津町という立地条件で来店客の増加は不可能な状態でも頑張りぬいた人である。立地の 悪さをカバーできたのは全国に固定客を確保するために宅急便による通信販売を開始したことだった。顧客データベース活用のためのパソコンを導入。全国に5000件の固定客を持つことができた。

店主
▲ 店主 後藤英夫氏・ 3代目隆宏氏
商品

 ところが、何年も経つうちに顧客数は一定時点で頭打ちになり、この情報を活用したDMの発送も郵便のコスト高が避けられないと考えHPを立ち上げた。最初に出したHPの売上は全く売上に結び付かなかったが、当社のショッピングモール「なんでモアール」(http://www.nande.com/に出店し、メールマガジン「菓子職人のとことんお菓子談義」を発行したことからアクセス数が急増し、それにともなって売上も上がってきた。メールマガジンは話題の豊富さと文章力に引きつけられて多くのフアンをもつようになっていった。除々に売上も上昇していったが、これで満足する後藤氏ではなかった。次なる挑戦を密かに考え始めていた。

 そんなとき、菓子業界のオーナー6人でフィリピンのセブ島に出かけることになった。今年の6月のことである。業界仲間と一緒に食べたマンゴが美味しくて帰りの飛行機の中でもこのマンゴが心の中に深く残っていた。「あんなにおいしい果物をケーキにしたい」と。帰ってきてすぐに動きはじめた。この美味しいマンゴを自分で輸入しよう。沢山あるマンゴの種類の中でもセブ島のゴールデンマンゴはいちばん美味しいと言われているものである。インターネットでも徹底的にリサーチした。食品輸入のプロセスについても厚生省のネットで調べた。名古屋空港の厚生省名古屋食品検疫所でも輸入のプロセスの説明を聞いた。マンゴは完熟のものを使うから美味しいのであって輸入ではそんなわけには行かない。マンゴケーキをこちらのレシピで現地で作ったらどうだろうか?と現地の5〜6箇所のケーキメーカーへ直接メールを送ったが何の反応もなかった。

ドライマンゴ
デモ風景

 そんな間に国産の生のマンゴを使って「マンゴムース」はでき上がった。果物の輸入は厚生省や農林水産省の両方がからんでいて途方もなく難しいことを知りやむなくあきらめた。その後いろいろ現地に話をもっていき調べていただいたところ、このおいしいゴールデンマンゴを使って最高級のドライマンゴを作っている「AEO」の社長に出会うことができた。その社長とは販売契約を結び直接輸入できるようになった。再度9月にセブ島に渡りAEOの社長に会い、ドライマンゴの契約の話やマンゴジュースを見に行くこととした。この地でいちばん有名なホテルで「マンゴケーキ」のデモンストレーションをすることも決めた。併せて、セブ島のオリジナルグッズのリサーチもしようとの目的をもって現地に乗り込んだのだった。

 6月〜9月の間は新しい商品の開発と輸入手続そして現地の人との電話やメールでの人脈づくりに奔走の日々を過ごした。ドライマンゴの輸入手続も大変難しかった。が、この2ヶ月間でその手続きの全てをおこなうことができた。そしてこの間にドライマンゴを国内のゴルフ場やスーパーマーケット、酒屋、薬局、フィットネスハウス等に営業に回り販売網を50ヶ所ほど確保したのだった。こうと決めたら徹底的に研究し足で確かめそれを自分のものにしていく。決して諦めない、そんな後藤氏の経営者としての資質はどんな環境に陥っても生き延びていく強さとたくましさがある。もうダメだと諦めては何にもならない。これからの時代を勝ち残っていくということは困難の連続に違いない。やがて生のマンゴを使ったケーキ「マンゴムース」が藤乃屋のホームページから販売されるのも近い。

マンゴムース
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『うつりゆく商業環境と躍進するまちと店』
広野 嘉代子